歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



日本特殊陶業市民会館「錦秋名古屋 顔見世」『蜘蛛絲梓弦』『春重四海波』
愛之助さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 片岡愛之助

こんなに早く再演がかなうとは

 ――「永楽館歌舞伎」で初演された2作が、名古屋の「顔見世」で上演されることになります。

 永楽館は平成20年(2008)8月の柿葺落とし公演から連続出演し、今年で10年目になります。「永楽館歌舞伎」では初役しかしないことにしております。そこでたくさんのことを学ばせていただきました。

 今回の『蜘蛛絲』と『四海波』もそうですが、『鯉つかみ』も永楽館で上演してから、あちこちで演じることになり、早替りで演じる役も6役、12役と増えていきました。僕は常々、再演できることを目標に作品にとり組んできましたが、こんな早くに実現するとは思いませんでしたので本当にうれしいです。

 ――今度の『番町皿屋敷』では放駒四郎兵衛を初役で勤められます。梅玉さんの青山播磨との共演を楽しみにしていらっしゃるとうかがいました。

 『番町皿屋敷』は狂言自体への出演も初めてなんです。梅玉お兄さんが得意とされている狂言ですから、大先輩の胸をお借りしてしっかりと勤めたいと思います。いずれ青山播磨もやりたいですね。ですから、お兄さんの演技をしっかりと盗もうと思います。

 ――今年は歌舞伎以外の舞台や映像へのご出演も多かったですね。

 歌舞伎ではないお芝居に出て、歌舞伎に戻ると落ち着きます。僕はスーツを着ているよりも着物を着ているほうがほっとします。先日、「芸の真髄シリーズ」の「筝曲」(8月23日国立劇場)で、久しぶりに地唄で『長刀屋島(なぎなたやしま)』を舞わせていただきましたが、ああいった格好をしているほうが僕はしっくりきます。三味線の音がすると、リラックスできるんです。帰るところがあるというのはいいものだと思います。

 

 ――今後のご予定をお教えください。

 10月の「錦秋名古屋 顔見世」のあとは、11月が「永楽館歌舞伎」の10周年公演で『仙石騒動(千石船帆影白濱)』を上演します。お家騒動物で、129年ぶりの復活です。團菊左(九世團十郎、五世菊五郎、初世左團次)の顔合わせで1回だけ上演された作品です。超大作なので、大幅な改訂を水口先生にしていただき、僕は2役を早替りします。また、年明けにNHKで放送される正月時代劇「風雲児たち~蘭学革命(れぼりゅうし)篇~」の撮影もあります。これがまた三谷幸喜さんの脚本で、せりふが多くて大変。頑張ります。

六代目 片岡愛之助 松嶋屋!

六代目 片岡愛之助さんをもっと知りたい!

六代目 片岡愛之助(かたおか あいのすけ)

生まれ 昭和47年3月4日、大阪府生まれ。
家族 養父は二代目片岡秀太郎。
初舞台 昭和56年12月、十三代目片岡仁左衛門の部屋子となり、南座『勧進帳』太刀持で片岡千代丸を名のり初舞台。
襲名 平成4年1月、片岡秀太郎の養子となり、大阪・中座『勧進帳』駿河次郎、『大江山酒呑童子』濯ぎ女なでしこで、六代目片岡愛之助を襲名。20年12月上方舞・楳茂都流の四代目家元を継承、三代目楳茂都扇性を襲名。
受賞 平成9年咲くやこの花賞、12年十三夜会賞、15年大阪舞台芸術新人賞、18年松尾芸能賞新人賞、25年度大阪文化賞ほか、受賞多数。
この一年の舞台

平成28年

10月 「十月花形歌舞伎」(新橋演舞場)
『GOEMON』石川五右衛門
11月 「第九回 永楽館歌舞伎」(出石永楽館)
『信州川中島合戦』長尾輝虎/『春重四海波』高砂頼母
11月 「松竹歌舞伎舞踊公演」(全国公演)
「御目見得 ご挨拶」/『連獅子』狂言師右近後に親獅子の精
12月 「當る酉歳 吉例顔見世興行」(先斗町歌舞練場)
『実盛物語』斎藤別当実盛/『菅原伝授手習鑑』「車引」松王丸

平成29年

1月 「壽 初春大歌舞伎」(歌舞伎座)
『将軍江戸を去る』山岡鉄太郎/『大津絵道成寺』藤娘・鷹匠・座頭・船頭・大津絵の鬼/『井伊大老』水無部六臣/『松浦の太鼓』大高源吾
3月・4月 「コメディ・トゥナイト!」(新橋演舞場、大阪松竹座)
『コメディ・トゥナイト! ローマで起こったおかしな出来事《江戸版》』丁吉
5月 「明治座 五月花形歌舞伎」(明治座)
『月形半平太』月形半平太/『三人連獅子』親獅子/『南総里見八犬伝』犬山道節
7月 「DEATH TRAP/デストラップ」(東京芸術劇場ほか)
『DEATH TRAP/デストラップ』シドニー・ブリュール

ようこそ歌舞伎へ

バックナンバー