歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」『寿曽我対面』
松也さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 尾上松也

切は全員がそろって幕を閉める

 ――今回の「新春浅草歌舞伎」では、ほかにも『芋掘長者』では魁兵馬、『乗合船』では通人をなさいます。 

 『芋掘』は三津五郎のお兄さんが芋掘藤五郎をなさった名古屋の御園座公演で、腰元に出演しました(平成19年4月)。今度は巳之助さんの友達役です。三津五郎さんと今の芝翫さんのコンビでなさっていた作品を、ご子息の二人が初めて上演されるときに出させていただくのは感慨深いですし、うれしいです。夜の最後は全員そろって終わりたいと思っていましたので、『乗合船』でその希望がかないました。

 ――三津五郎さんには五郎以外にどんな役を教わられましたか。

 『寺子屋』の源蔵、『三人吉三』の十三郎、『傾城反魂香』の修理之助…、ほかに『素襖落』もみていただきました。

 お兄さんのお言葉は、本当に印象に残ることばかりです。いろいろな場面でおっしゃっていただいた、ひと言ひと言を忘れないようにしています。

経験を自信が得られた「新春浅草歌舞伎」

 ――浅草歌舞伎でリーダー的存在となって5年目になります。

 自分にとって大きな経験と自信になりました。失敗もしましたが、すべてが自分にとって大切な時間で、成長をさせていただいていることは、歌舞伎以外の公演に出演したときにも感じます。

 ――昨年は9月と10月の1カ月半にわたり、現代劇の『メタルマクベス』でも主演されました。

 あれだけの劇場(IHIステージアラウンド東京)の大きな公演でお客様がいらっしゃる中でも、動じることなく、ある程度余裕をもってできたのは、浅草歌舞伎で毎年させていただいた経験が大きかったと思います。『メタルマクベス』は舞台も広く、毎日マラソンしているような感じで、体力的にはかなりきつかったですね。

 ――今年はどんな年になさりたいですか。

 新たなチャレンジができたらと思いますし、一つひとつのことが次につながると思って、そして、常に危機感をもってとり組みたいです。

音羽屋!

尾上松也さんをもっと知りたい!

二代目 尾上松也(おのえ まつや)

生まれ 昭和60年1月30日、東京都生まれ。
家族 六代目尾上松助の長男。
初舞台 平成2年5月歌舞伎座『伽羅先代萩』足利鶴千代で二代目尾上松也を名のり初舞台。
受賞、受章 平成28年松尾芸能賞新人賞、同28年度浅草芸能大賞新人賞ほか。
この一年の舞台

平成30年

1月 「新春浅草歌舞伎」(浅草公会堂)
『元禄忠臣蔵』「御浜御殿綱豊卿」徳川綱豊卿/『双蝶々曲輪日記』「引窓」濡髪長五郎
2月 「二月花形歌舞伎」(博多座)
『磯異人館』五代才助/『お染の七役』船頭長吉/『義経千本桜』「渡海屋・大物浦」渡海屋銀平実は新中納言知盛/『鰯賣戀曳網』博労六郎左衛門
3月 「三月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『滝の白糸』村越欣弥
4月 「四国こんぴら歌舞伎大芝居」(旧金毘羅大芝居〈金丸座〉)
『江島生島』生島新五郎/『義経千本桜』「鳥居前」源義経/『石橋』獅子の精
5月 「團菊祭五月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『雷神不動北山櫻』文屋豊秀/『弁天娘女男白浪』鳶頭清次
6月 「六月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『妹背山婦女庭訓』「三笠山御殿」烏帽子折求女実は藤原淡海
7月 「オリジナル公演『百傾繚乱』」(女神の森セントラルガーデン)
『二人椀久』椀屋久兵衛/『百傾繚乱 -Kakugo-』
9月・10月 新感線☆RS『メタルマクベス』disc2(IHIステージアラウンド東京)
『メタルマクベス』ランダムスター・マクベス魔II夜
11月 「十一月花形歌舞伎」(博多座)
『あらしのよるに』めい
12月 「十二月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『幸助餅』大黒屋幸助/『於染久松色読販』船頭長吉

ようこそ歌舞伎へ

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