ニュース

玉三郎が語る、「坂東玉三郎 初春お年玉公演」、「片岡仁左衛門 坂東玉三郎 初春特別公演」

玉三郎が語る、「坂東玉三郎 初春お年玉公演」、「片岡仁左衛門 坂東玉三郎 初春特別公演」

 

 2025年1月3日(金)から始まる「坂東玉三郎 初春お年玉公演」、1月11日(土)から始まる「片岡仁左衛門 坂東玉三郎 初春特別公演」に出演する坂東玉三郎が、公演についての思いを語りました。

 来年1月の大阪松竹座では、玉三郎が『口上』、地唄舞『残月』、『長崎十二景』を上演する「坂東玉三郎 初春お年玉公演」、そして仁左衛門とともに『於染久松色読販』、『神田祭』をお届けする「片岡仁左衛門 坂東玉三郎 初春特別公演」の2公演を上演します。大阪松竹座で玉三郎と仁左衛門の顔合わせによる公演が行われるのは平成18(2006)年の「壽初春大歌舞伎」以来実に19年ぶりです。

 

 

 地唄舞と竹久夢二と

 地唄舞の『残月』は、作曲者の峰崎勾当が女性が早逝してしまったエピソードから生み出したもので、彼女が月に行っているという想像のなかで演じる作品。そう話す玉三郎は、続けて「合方が五段ある非常に長い作品ですが、今回は三段にしています。女性が蘇って、しばし楽しい時間が過ぎていく。そしてまた月が出たときにやはり女性はいなかった…という振り付けにしたいと思います」と、構想を語りました。

 

玉三郎が語る、「坂東玉三郎 初春お年玉公演」、「片岡仁左衛門 坂東玉三郎 初春特別公演」

 

 「もともと地唄舞は、曲をお聞かせすることが主である芸能だったのではないでしょうか。『残月』も本当に素晴らしい曲。しんしんと、撥の音が雨だれのように聞こえてくる。聞きながら曲の世界のなかに入っていけることが、一つの醍醐味です」と、自身で舞い初めてから約30年経つという、地唄舞の魅力について力説します。「月夜の燦々とした月を見たときの虚しい、あるいは清々とした思いを一瞬感じていただけるように」と、本作に込める思いを明かします。

 

 続いて上演される『長崎十二景』は、今年生誕140年を迎える画家・竹久夢二の絵画作品をモチーフとした作品。唯是震一が発表した組曲「長崎十二景」を用い、長崎の遊女が外国の男と出会い別れる物語を描いた舞踊劇で、このたび約36年ぶりの上演となります。「男女の出会いと別れのなかで、夢二の十二景の絵それぞれを想像できるようなシーンをつくって、扮装も夢二の絵にぴったりな扮装にしています。小波津亜廉さんとは初共演でございますが、夢二の絵の男に合う方かなと思います」と、期待を誘います。

 

玉三郎が語る、「坂東玉三郎 初春お年玉公演」、「片岡仁左衛門 坂東玉三郎 初春特別公演」

 

悪婆のもつ愛嬌

 続いての「片岡仁左衛門 坂東玉三郎 初春特別公演」では、「歌舞伎座で上演した舞台を、大阪でも観ていただけたら」という思いから、今年4月に歌舞伎座で上演した『於染久松色読販』、『神田祭』を仁左衛門とともにお届けします。仁左衛門とのコンビについて、ほかの俳優との過去の共演にも懐かし気に触れながら、「ご縁というか、運命ですね」と、しみじみとその思いを口にします。

 

 『於染久松色読販』では、‟悪婆”と言われる役どころの土手のお六を勤めます。「悪婆は、どこか素っ頓狂なところがなくてはいけないという点が独特です。桜姫にも通じるところがありますが、おかしみというか、愛嬌がなくてはいけない。どこか間抜けで、だから強請りも失敗してしまうし、悪態をついても笑えるところがある。21歳で初めて勤めたときに指導を受けた前進座の(河原崎)國太郎さんからも、“悪婆というのはおかしみ、可愛さがなくてはならない”と言われました。世話物でありながら、現実にはあり得ないようなことが行われるから、芝居として面白いのではないでしょうか」。

 

 今も新しい作品を生み出し、さらに若い世代の俳優たちとさまざまな舞台で共演を重ねる玉三郎。その心について、「何かを後世に残そうということではないのです。舞台はご覧になった方の記憶のなかに残るもの。今日来てくださったお客様、直接会ったお客様に、この時間だけ楽しんでいただきたい。一期一会です」と、ゆるぎない思いを伝えました。

 大阪松竹座「坂東玉三郎 初春お年玉公演」は令和7(2025)年1月3日(金)から8日(水)まで、大阪松竹座「片岡仁左衛門 坂東玉三郎 初春特別公演」は同じく1月11日(土)から26日(日)までの公演。チケットはそれぞれ、チケットWeb松竹チケットホン松竹で11月27日(水)、12月7日(土)から発売予定です。

2024/11/26