歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



大阪松竹座「壽初春大歌舞伎」『桂川連理柵』 壱太郎さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 中村壱太郎

祖父、父と舞台を共にして

 ――今回のようにお祖父様の相手役をなさるのはどんなお気持ちですか。

 祖父が元気でいてくれることがありがたいです。相手役の最初が、祖父の忠兵衛での『封印切』(平成21年9月巡業)の梅川。『雁のたより』(平成26年6月博多座)も三二五郎七と司で一緒にさせてもらいました。ですが、芝居に入りますと、祖父という思いもなくなります。大先輩の胸を借りる、という気持ちです。

 ――お父様の四代目鴈治郎襲名興行の1年間、ずっとご一緒されました。

 襲名は、劇場の空気感が違います。父は大らかなので、苦労をあまり表に出しません。こちらも頑張らなければという気になります。

 ――お練りや船乗り込みもなさいましたね。

 うれしかったです。大阪と博多で船乗り込み、東京では浅草をお練りで歩かせてもらい、京都では八坂神社で奉納舞踊を舞い、新京極、寺町通まで人力車でお練りをいたしました。お練りはお客様と直接会話ができるのが有難いです。

歌舞伎の外から吸収して歌舞伎に持ち帰りたい

 ――平成26(2014)年には日本舞踊の吾妻流家元を七代目として継承されました。

 母(吾妻流宗家二代目吾妻徳穂)から受け継いだ吾妻流の血が僕には入っています。踊りの手ほどきを母に受けてからは、藤間の宗家(藤間勘祖、勘十郎)やほかの流儀のお稽古もさせていただきました。改めて母に習い、流儀に体を染めるのも大事なことで、家元襲名披露で新しいスタートを切ったように感じました。

 母から吸収することも多いですし、(坂東)三津五郎のおじさんには『団子売』を教えていただきました。おじさんも歌舞伎俳優でありながら家元でいらっしゃいましたし、襲名披露で『かさね』(『色彩間苅豆』)を踊らせていただいた(尾上)松緑さんも藤間勘右衞門として藤間流の家元をされています。僕の世代では(坂東)巳之助さんが坂東流の家元です。共に歩んでいきたいです。

 ――では最後に、2016年はどんな年にしたいですか。

 歌舞伎の本公演はもちろん、歌舞伎に関係するお仕事が増えたらいいなと思います。ほかの媒体、ほかのお芝居にしても、歌舞伎に何かを持って帰れるお仕事にしたい。身近では愛之助のお兄さんが実現されていらっしゃるので、僕も微力ながらそういうこともできたらと思います。

中村壱太郎 成駒家!

中村壱太郎さんをもっと知りたい!

中村壱太郎(なかむら かずたろう)

生まれ 平成2年8月3日生まれ。
家族 四代目中村鴈治郎の長男、祖父は四代目坂田藤十郎。母は二代目吾妻徳穂。
初舞台 平成7年1月中座『嫗山姥(こもちやまんば)』一子公時(きんとき)ほかで初代中村壱太郎を名のり初舞台。
受賞 平成22年十三夜会賞奨励賞、23年度咲くやこの花賞、23年度文化庁芸術祭賞新人賞ほか。
この一年の舞台

平成27年

1月 「壽初春大歌舞伎」(大阪松竹座)
『河内山』腰元浪路/「口上」/『棒しばり』太郎冠者
2月 「二月大歌舞伎」(大阪松竹座)
『京人形』京人形の精/「口上」/『傾城反魂香』土佐修理之助/『連獅子』狂言師左近後に仔獅子の精/『義経千本桜』「川連法眼館の場」静御前
3月 「三月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『菅原伝授手習鑑』「加茂堤」「道明寺」苅屋姫/「寺子屋」戸浪
4月 「四月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『碁盤太平記』大石主税/『梶原平三誉石切』梢/『成駒家歌舞伎賑』/『河庄』五貫屋善六/『石橋』獅子の精
5月 「明治座 五月花形歌舞伎」(明治座)
『男の花道』加賀屋歌助/『鯉つかみ』釣家息女小桜姫
6月 「六月博多座大歌舞伎」(博多座)
『連獅子』狂言師左近後に仔獅子の精/『ぢいさんばあさん』久弥妻きく/「口上」/『芸道一代男』おなみ
6月・7月 「松竹大歌舞伎 東コース」(全国公演)
『引窓』女房お早/「口上」
8月 「六本木歌舞伎 名古屋公演」(中日劇場)
『地球投五郎宇宙荒事』高窓太夫
8月 「六本木歌舞伎 大阪公演」(オリックス劇場)
『地球投五郎宇宙荒事』高窓太夫
8月・9月 「松竹大歌舞伎 西コース」(全国公演)
『引窓』女房お早/「口上」
10月 平成27年10月歌舞伎公演「通し狂言 伊勢音頭恋寝刃」(国立劇場)
『伊勢音頭恋寝刃』油屋お紺
11月 「第八回 永楽館歌舞伎」(出石永楽館)
『青雲の座』幾松/『蜘蛛絲梓弦』源頼光
12月 「當る申歳 吉例顔見世興行」(京都四條南座)
『碁盤太平記』大石主税/「口上」/『勧進帳』源義経

ようこそ歌舞伎へ

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