歌舞伎いろは

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歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」『祝勢揃壽連獅子』『加賀鳶』『芝翫奴』
橋之助さん、福之助さん、歌之助さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 四代目中村橋之助 三代目中村福之助 四代目中村歌之助

気持ちのいいせりふに納得

 ――『加賀鳶』では橋之助さんが数珠玉房吉、福之助さんが御守殿門次、歌之助さんが昼ッ子尾之吉を勤められます。橋之助さんも昼ッ子をなさりたかったそうですね。

 橋之助 巳之助、昼ッ子、勇次の三人は、「木戸前勢揃い」の中でも超花形です。そこに入れるのは、うらやましいです。お客様に、「歌之助の昼っ子か、橋之助にすればよかったのに」と思っていただけるような数珠玉房吉をお届けしたいです(笑)。

 歌之助 届いた台本で昼ッ子のせりふを読んで、気持ちがいいもんだなあと改めて思いました。児太郎の兄に教わりますが、先輩に教わるのも初めてです。しっかり習って兄たちにもお客様にも「よかったね」と言っていただけるように頑張ります。

 福之助 「勢揃」のツラネのせりふで、後ろの人が言い難くならないように、せりふを上手に受け渡せるように気を付けます。

お客様に新しい名前で呼びかけられるのがうれしい

 ――ところで、新しいお名前にはもう慣れましたか。

 歌之助 まだ慣れないです。でも、いままで本名で呼ばれていたので、歌之助さんと言われるのはうれしいですが。

 福之助 結構、慣れてきました。呼びかけられたらぱっと目がいきます。少しでも多くお客様と触れ合いたいので、歌舞伎座を出るときも、駐車場から直接、父たちと一緒の車に乗らず、楽屋口から出て乗るようにしています。出待ちしてくださるお客様にサインもしています。お客様と触れ合うと疲れがふっとびます。ずっと楽屋口に座っていたいくらいです(笑)。

 橋之助 僕もお客様に呼びかけていただけるとうれしいです。自分が橋之助になれたのかはわかりませんが、父が「芝翫さん」と呼ばれることはしっくりとくるようになりました。

 父は四代目以来の立役の芝翫です。五代目から七代目の祖父まで続いた女方のイメージを変え、自分の芝翫をつくりたいということで、祝幕も「口上」の舞台面の絵も宣伝のポスターも男らしいものにしています。僕のなかでは芝翫のイメージが父のものになってきました。

 ――どんな俳優になりたいですか。

 橋之助 時代物ができて踊りができて、男臭くて鳥肌が立つような大きい立役になりたいです。『熊谷陣屋』や『忠臣蔵』の由良之助ができるような役者です。

 福之助 僕はまだ、どういう役者にという具体的なイメージはないのですが、大学に進学し、5月から舞台に出るようになり、ご一緒した皆さんから大きな刺激を受けています。『熊谷陣屋』では播磨屋のおじ様(吉右衛門)の義経に毎日、鳥肌が立ちます。

 歌之助 時代物も世話物も好きなので、そこを中心に勉強しつつ、父や勘三郎の伯父が出演していた「コクーン歌舞伎」や「平成中村座」のような舞台の戦力に早くなれればと思います。

四代目中村橋之助 三代目中村福之助 四代目中村歌之助さんをもっと知りたい! 成駒屋!

四代目中村橋之助

四代目中村橋之助(なかむら はしのすけ)

生まれ 平成7年12月26日、東京生まれ。
家族 八代目中村芝翫の長男。祖父は七代目中村芝翫。弟に三代目中村福之助、四代目中村歌之助。
初舞台 平成12年9月歌舞伎座『京鹿子娘道成寺』所化、『菊晴勢若駒』春駒の童で初代中村国生を名のり初舞台。
襲名 平成28年10月・11月歌舞伎座『初帆上成駒宝船』橋彦、『極付幡随長兵衛』極楽十三、『熊谷陣屋』堤軍次、『祝勢揃壽連獅子』狂言師後に仔獅子の精、『加賀鳶』数珠玉房吉、『芝翫奴』奴駒平ほかで四代目中村橋之助を襲名。
この一年の舞台

平成27年

10月・11月 「大阪平成中村座」(平成中村座)
『女暫』猪俣平六/『狐狸狐狸ばなし』福造/『俊寛』丹波少将成経/『盲目物語』竹内河内
11月・12月 「當る申歳 吉例顔見世興行」(京都四條南座)
『土蜘』卜部季武

平成28年

1月 「新春浅草歌舞伎」(浅草公会堂)
『毛抜』小野春風/『義経千本桜』「川連法眼館の場」駿河次郎
4月 「明治座 四月花形歌舞伎」(明治座)
『末広がり』万商人
6月 「渋谷・コクーン歌舞伎 第十五弾 四谷怪談」(シアターコクーン)
『四谷怪談』小仏小平
8月 「八月納涼歌舞伎」(歌舞伎座)
『艶紅曙接拙』大工駒三/『土蜘』渡辺源次綱

三代目中村福之助

三代目中村福之助(なかむら ふくのすけ)

生まれ 平成9年11月13日、東京生まれ。
家族 八代目中村芝翫の二男。祖父は七代目中村芝翫。兄は四代目中村橋之助、弟は四代目中村歌之助。
初舞台 平成12年9月歌舞伎座『京鹿子娘道成寺』所化、『菊晴勢若駒』春駒の童で初代中村宗生を名のり初舞台。
襲名 平成28年10月・11月歌舞伎座『初帆上成駒宝船』福彦、『極付幡随長兵衛』雷重五郎、『外郎売』近江小藤太、『熊谷陣屋』伊勢三郎、『祝勢揃壽連獅子』狂言師後に仔獅子の精、『加賀鳶』御守殿門次、『芝翫奴』奴駒平ほかで三代目中村福之助を襲名。
この一年の舞台

平成28年

5月 「明治座5月公演」(明治座)
『御宿かわせみ』左太郎
6月 「平成28年6月歌舞伎鑑賞教室」(国立劇場)
『新皿屋舗月雨暈』小奴三吉
7月 「七月大歌舞伎」(大阪松竹座)
『鬼一法眼三略巻』「菊畑」申し次腰元白菊/『芋掘長者』菟原左内
8月 「八月納涼歌舞伎」(歌舞伎座)
『艶紅曙接拙』角兵衛神吉/『土蜘』坂田主馬之丞公時

四代目中村歌之助

四代目中村歌之助(なかむら うたのすけ)

生まれ 平成13年9月10日、東京生まれ。
家族 八代目中村芝翫の三男。祖父は七代目中村芝翫。兄は四代目中村橋之助、三代目中村福之助。
初舞台 平成16年9月歌舞伎座『菊薫縁羽衣』宿星の王子、『男女道成寺』所化で初代中村宜生を名のり初舞台。
襲名 平成28年10月・11月歌舞伎座『初帆上成駒宝船』歌彦、『極付幡随長兵衛』神田弥吉、『外郎売』八幡三郎、『熊谷陣屋』駿河次郎、『祝勢揃壽連獅子』狂言師後に仔獅子の精、『加賀鳶』昼ッ子尾之吉、『芝翫奴』奴駒平ほかで四代目中村歌之助を襲名。
この一年の舞台

平成28年

8月 「八月納涼歌舞伎」(歌舞伎座)
『艶紅曙接拙』角兵衛清吉/『土蜘』碓井靭負之丞貞光

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