歌舞伎いろは

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歌舞伎座「三月大歌舞伎」『助六由縁江戸桜』
雀右衛門さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 中村雀右衛門

雀右衛門でございます、と言えるようになりました

 ――雀右衛門襲名から1年が経ちました。各地で襲名披露興行が催され、お名前にも慣れられたことと存じます。

 まだ「芝雀さん」と呼びかけられることがありますが、「構いませんよ」と申し上げております。自分でもやっと少しずつ「雀右衛門でございます」と言えるようになりました。「雀右衛門になったのか」というのを少しはご理解いただけたのかなという気がいたします。

 ――襲名披露では『鎌倉三代記』の時姫、『金閣寺』の雪姫、『十種香』の八重垣姫の三姫、『熊谷陣屋』の相模など数々の大役を勤められました。

 ひたすら一所懸命やるしかありませんでした。大きなお役は大変だとしみじみ思いましたね。『助六』でいうなら、白玉は大きさよりも美しさ若々しさだと思いますが、揚巻の大きさを出すのは大変なことです。お役には、演じてみないとわからないことがたくさんあります。今回の揚巻でも発見があるのではないかと楽しみにしております。

 ――昨年12月の京都での「顔見世興行」で演じられた『娘道成寺』の花子も初役でいらっしゃいました。

 父と『二人道成寺』は踊った経験はありましたが、一人で踊る『娘道成寺』は、ひたすら体力です。1時間、変化を付けながら踊るわけですから、今まで勉強させてきてもらったものを最大限出しながら、お客様に喜んでいただけるようにと考えました。
 経験させていただくと、少しずつであっても、次の舞台に何か身についてきているのかなという気がします。襲名でいろいろな大役をさせていただいたのは本当にありがたいことです。

 ――まだまだお忙しいことと存じます。

 1年に14カ月働きたいと思っているので、まったく平気です。いつでも受けて立つ気持ちでおります。

中村雀右衛門 京屋!

中村雀右衛門さんをもっと知りたい!

五代目 中村雀右衛門(なかむら じゃくえもん)

生まれ 昭和30年11月20日生まれ。
家族 父は四世中村雀右衛門、母が七世松本幸四郎の娘。兄は八代目大谷友右衛門で、三代目大谷廣太郎、二代目大谷廣松は甥にあたる。
初舞台 昭和36年2月歌舞伎座『一口剣(ひとふりけん)』村の子明石で大谷広松を名のり初舞台。
襲名 昭和39年9月歌舞伎座『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』御半下おひろで七代目中村芝雀を襲名。
平成28年3月歌舞伎座『鎌倉三代記』時姫、『祇園祭礼信仰記』雪姫で五代目中村雀右衛門を襲名。
受賞 平成9年眞山青果賞奨励賞。同20年松尾芸能賞優秀賞、日本藝術院賞。同22年紫綬褒章ほか受賞・受章多数。
この一年の舞台

平成28年

3月 「三月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『鎌倉三代記』時姫/五代目中村雀右衛門襲名披露「口上」/『祇園祭礼信仰記』雪姫
4月 「四月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『幻想神空海』楊貴妃
5月 「團菊祭五月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『勢獅子音羽花籠』芸者
6月 「六月博多座大歌舞伎」(博多座)
『熊谷陣屋』熊谷妻相模/五代目中村雀右衛門襲名披露「口上」/『本朝廿四孝』八重垣姫
7月 「七月大歌舞伎」(大阪松竹座)
『夕霧名残の正月』扇屋夕霧/『与話情浮名横櫛』お富/五代目中村雀右衛門襲名披露「口上」/『鳥辺山心中』遊女お染
8月・9月 「松竹大歌舞伎」西コース(全国公演)
五代目中村雀右衛門襲名披露「口上」/『仮名手本忠臣蔵』「七段目」遊女おかる
10月 「芸術祭十月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『極付幡随長兵衛』女房お時
11月 「11月歌舞伎公演 通し狂言 仮名手本忠臣蔵【第二部】」(国立劇場)
『仮名手本忠臣蔵』「七段目」遊女おかる
11月・12月 「當る酉歳 吉例顔見世興行」(先斗町歌舞練場)
『道行旅路の嫁入』小浪/『廓文章』扇屋夕霧/『京鹿子娘道成寺』白拍子花子

平成29年

1月 「壽 初春大歌舞伎」(歌舞伎座)
『沼津』お米/『井伊大老』昌子の方
2月 「猿若祭二月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『扇獅子』芸者/『門出二人桃太郎』庄屋妻お京

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