歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



 

物語の裏の裏まで考えてしまう癖

 親子兄弟で違う主君に分かれて戦う、佐々木盛綱と高綱。敵方の捕虜となった高綱の息子・小四郎は父のため自害し果てます。その死を盛綱や祖母の微妙らはあっぱれと褒め讃え見送るのですが…

パックン「その後、北條時政が盛綱に贈った鎧の箱の中にスパイが入っていたでしょ。そのスパイを殺しましたよね。そうすると、やっぱり高綱は生きている、怪しいってバレちゃうんじゃないかな」

富樫「え?でもあれは口封じでスパイを殺したんですよね」

パックン「そうなんだけど。北條時政はあのスパイが無事に帰ってこない時点で何か変だ!と思うじゃないですか」

富樫「思いますね」

パックン「しかも時政は疑り深い性格でしょ?首を確かめた上にまだ何かあるかもとスパイを送り込むような…」

富樫「気づきますね。時政なら」

パックン「僕の考えだけど、一番いい方法はあのスパイを脅迫して時政に嘘の報告をさせることだと思うんですよ。そうすれば全部丸く収まると思わない?」

富樫「確かに」

パックン「小四郎の死を見て盛綱が自害しようとすると、敵方の使者が止めますよね。あなたが自害したら弟の計略が水の泡になるからって」

富樫「はい」

パックン「そこまで考えているならスパイも殺さないほうがいいんじゃないかと…でも、そうでもないんだけどね~~。僕、本当に映画でもお芝居でもこういうことを言っちゃって奥さんに怒られるんですよ」

富樫「楽しい気分なのに、そんなこと言わないで!って」

パックン「そう」

富樫「無理矢理まとめると、スパイを脅迫して主君に嘘をつかせるのは、盛綱自身が時政を裏切ることになりますよね。それは武士としてはやってはいけないことで、この理不尽さも武士道ゆえじゃないかなあ」

パックン「なるほど、そういう捉え方もありますね。納得いかないけど」

富樫佳織の感客道

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