歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



(※3)『鳥羽絵』
文政2年(1819年)に三世中村歌右衛門が上坂のお名残狂言として上演した九変化舞踊の一景として上演された。外題の“鳥羽絵”とは江戸時代後期に人気を博した戯画で、簡単な描線で人々の様子を滑稽に描いたもの。

 

イヤホンガイドはすごい!解説で広がる歌舞伎の面白さ

 二幕目は清元の舞踊『鳥羽絵』(※3)です。あるお店の台所を最近騒がす鼠と、鼠を捕まえようとする下男とのコミカルなやりとりが洒落を盛り込んだ浄瑠璃と振り付けで紡がれます。

パックン「この舞踊はイヤホンガイドの解説を聞いていて本当によかった!あの振りが何を表現していたか全部分かった?」

富樫「ええ…なんとなく。流れは」

パックン「じゃあ、風邪をひいた、の後は分かった?」

富樫「えーと…えーと…」

パックン「でしょー!」

富樫「…」

パックン「風が吹いたらくしゃみして『ああ風邪だ』と。その後にものすごく大事なくだりがあったんですよ。『風邪をひいた』に続いて『ひきもの』つながりで続くんだけど、分かった?」

富樫「…分かりませんでした」

パックン「解説を聞いていたら面白かったんですよ!最初は風邪を引いた、その次は怪我をして足を『引きずる』、次は舟を『引く』。その次はお酒なんだけど、何で引くんだと思いますか?」

富樫「えっと…お銚子を引いてきて飲むとか…?」

パックン「『後を引く』から!」

富樫「ああ!」

パックン「『鳥羽絵』は踊りのだじゃれですよ。でも僕はイヤホンガイドを聞いていなければ分かりませんでした。聞いたほうがいいよ、今度」

富樫「私は死ぬまで歌舞伎を観るので…あと10年後くらい後に分かってもいいかなと思ったりしてるんですよ(屁理屈)」

パックン「チケット代金払っているのにもったいないですよ。僕はいろいろなことが分かってものすごく感動したよ!歌舞伎は5回目だけど本当に面白いと思った!」

富樫「英語と日本語、両方のイヤホンガイドを聞いていただきましたが」

パックン「英語のほうはとても親切にストーリーを教えてくれてよかったです。それと初心者がへーって思うこと。例えば、悪党は何色の顔?」

富樫「赤い顔」

パックン「正解!僕の場合、日本語の台詞が100%分からないから英語の親切な解説は助かりました。英語がちょっと分かる人なら聞きながら舞台を観ると英語の勉強になると思います」

富樫「さすが『英語でしゃべらナイト』。日本語は?」

パックン「こっちもいいんですよ!今言った『ひきもの』とか、観ているだけでは分からない歴史や風俗も解説してくれて面白かった。英語と日本語、両方聴けたら最高に面白いと思います。同時に聞くとわけわからなくなるかもしれないけど」

富樫佳織の感客道

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