歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



幕間の楽しさから、歌舞伎の面白さを逆算する

 通し狂言は、長い幕間をいかに過ごすかも楽しみのひとつです。KIKIさんは売店で、クリスマス模様の手ぬぐいをお買い上げ。

KIKI 「歌舞伎座の売店は、いろいろなものがギュっと詰まっていて幕間があっという間に過ぎてしまいますよね。あ!人形焼き屋さんが屋内にある」


富樫 「私たち、完全にお買い物を楽しんでいますが…よく考えたら5分前くらいまで判官が無念の切腹をして由良之助が苦しむ様を観ていたんですよねえ」

KIKI 「本当に。ただ、この切り替えがハッキリしている感じが歌舞伎の醍醐味ですよね。思わず涙が出るほど悲しいことや衝撃、感動があっても幕が終わってから引きずる種類のものではなくて。それこそ娯楽なんですよね」

富樫 「KIKIさんは初めて歌舞伎を観に来た時は、予習してきたの?」

KIKI 「お話の内容を調べたりはしましたけれど、予習!というほどではありませんでした。私が最初に観た演目はとても分かりやすかったので『自分にも分かる』という嬉しさもありました」


富樫 「現在はモデル・女優さんを中心としながら、ラジオのパーソナリティーや執筆活動など“何かを伝える”お仕事が多いですよね。取材の時はどうですか?予習する?」


KIKI 「今、とても悩んでいるんです。もちろん最低限のことは調べていきますが、調べすぎると『ああ、やっぱりこうなるのか』という確認作業になってしまうこともありますよね」

富樫 「それよりも伝える側というのは何に驚いたか、何に感動したかという第一印象が大切ですもんね」

KIKI 「そうですね。今は、情報の受け手となるリスナーだったり読者の方々が自分も一緒に楽しめるように、取り組むテーマに沿って考えています」


 構えず、正直な自分の言葉で伝えるKIKIさんの言葉はたくさんの人に愛されています。そんな物事を真直ぐに受け止める感受性を持ったKIKIさんに衝撃を与える展開がこの後の観劇には潜んでいたのです…。

富樫佳織の感客道

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