歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



 

歌舞伎の劇場は大人のテーマパーク

 午前11時からお昼をはさんで夕方までの感劇。
 1回目の幕間は30分。今回は2階の食堂「鳳凰」で『花かご膳』をいただきます。歌舞伎座でのお食事は、季節の食材で変わるのがお楽しみのひとつです。

久保「こういう食事の時間も楽しいんですよね。歌舞伎を観ながら美味しいものを食べておしゃべりして。忙しいとなかなか思い切れないけど、実際来てみるとゆっくりできる贅沢な時間ですよね」

 1階の客席から2階食堂へと向う途中、久保さんは劇場内のショップの賑わいを見て、ワクワクしていました。ちょうど12月は、自分で台と鼻緒が選べる草履屋さんも出店しています。

久保「お芝居を観ている間に自分が選んだ草履の鼻緒を挿げてくれるんですか?すごく楽しそう。それにお洋服や小物も売ってるでしょ?食事もそうですけど、お芝居以外の楽しみがたくさんあってテーマパークみたい」

 母親としてお子さんを育てながら、テレビの撮影や生放送で多忙な毎日を送る久保さんは、ちょっとした時間を作ってよく映画館に足を運ぶそうです。

久保「大きなスクリーンで観るとお話の世界観に入り込めるし、集中するから他のことを忘れられていいんですよ。映画館、大好きなんです。それで今日驚いたのは歌舞伎座の舞台の広さ!映画館でも大きくていいなーって思っていたけど、さらに大きい!しかも照明が明るくて華やかで、とても美しい空間ですね。座っているだけでも楽しめます」

 感劇の前日も映画のDVDをご覧になっていたそうです。そこから意外な発見が。

久保「時姫の美しさを観て思ったのですが、日本人って本当に着物が似合いますよね。昨日、映画の『マリー・アントワネット』を観ていて西洋人ってほんとにドレスが似合うなー、日本人にはこうは着こなせないなと思っていたけど着物は逆!私たち日本人にしか似合わない。でも私自身、きちんと着付けができないし、そういう文化を継承できていないのは残念…」

 敷居が高いと思われる歌舞伎も、その敷居を一歩越えてみると「純愛ドラマ」あり「美味しいお食事」あり「きれいな衣裳」ありのエンターテイメント空間だと久保さんはおっしゃいます。映画と違うのは時間の差ですが…。実は歌舞伎には「幕見」という演目を一本一本観るスタイルもあるんですよ。

久保「え?1本30分から観られるんですか?だったらすごく気軽ですね。映画にはレディースデーがあるのを皆知ってるけど、歌舞伎にもそういう気軽なシステムがあるって、もっと知ってもらえたらいいですね」

富樫佳織の感客道

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