仙人の堕落

せんにんのだらく

narukami.jpg
▲三代豊国画「小倉擬百人一首 源俊頼朝臣」「鳴神上人」「雲のたへま」弘化4年~嘉永3年(1847~1850)大判錦絵・国立国会図書館蔵(禁無断転載)

 そもそも『鳴神』の話のもとになったのはインドから伝わった説話で、日本でも『太平記』『今昔物語集』はじめ、さまざまな書物の中でその説話が紹介されています。

 能の『一角仙人』も、『太平記』の話を基にしています。
 内容は、"雌鹿の腹から生まれ一本の角をもつ一角仙人が、ある日大雨に足を滑らせ山から転落してしまったことに腹を立て、雨を降らせる竜王を洞窟に押し込めてしまう。雨が降らなくなり国中が困窮するので、国王は後宮一番の美女扇陀女(せんだにょ)に五百人の美女を供につけ、酒や媚薬まで持たせ仙人のもとへ送り込む。すっかり舞い上がった仙人が、扇陀女に手をだしたところで神通力は失せ仙人は死んでしまい、雨が降り始めた...。" というものです(『太平記 巻三十七・身子声聞、一角仙人、志賀寺上人事』)。

 また『今昔物語集』には、この一角仙人の話とともに、修行して飛行する術を会得した久米の仙人が、白い脛もあらわに洗濯する女性を空中から見て目がくらみ、墜落してしまうという話が収録されています(『巻十一・第二十四久米仙人、始めて久米寺を造ること』)。

 どこの国のどんなに修行した仙人も、美女の色香にはかなわないようですね。(み)



解説

バックナンバー

RECOMMENDED


[PR]

連載特集

  • 私と歌舞伎座 ~受け継ぐ伝統、新たな出発~ 第11回 坂田藤十郎
    2010.3. 1

    私と歌舞伎座 ~受け継ぐ伝統、新たな出発~ 第11回 坂田藤十郎
    「さよなら公演」を記念した特別インタビュー  > 続きを読む
  • 芸術家の魂を揺さぶる冬の日光へ~東照宮から現代建築まで
    2010.2.26

    芸術家の魂を揺さぶる冬の日光へ~東照宮から現代建築まで
    日光彫などの工芸品  > 続きを読む
  • 浮世絵 ~江戸の流行を映す手技 ⅠⅠ~
    2010.2.25

    浮世絵 ~江戸の流行を映す手技 ⅠⅠ~
    江戸からの手法を守るアダチ版画研究所さんを取材  > 続きを読む
  • 知りたかった歌舞伎座の「そば」のおはなし
    2010.2.17

    知りたかった歌舞伎座の「そば」のおはなし
    歌舞伎座の「食」をめぐるシリーズの4回目  > 続きを読む





[PR]