だんまり
だんまり
漢字で書けば"暗闘""暗争""暗挑※"。
人気(ひとけ)のない山奥や川端、海辺でその芝居のおもだった登場人物が、字のごとく暗闇のなかを手探り状態で宝を探り奪い争う様子を見せる歌舞伎の一場面です。無言でゆったりとした下座音楽に乗せて、様式的な動きを見せる様は歌舞伎美の極地ともいえましょう。
『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』の
≪神輿ケ嶽(みこしがたけ)のだんまり≫、
『鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)』の
≪魔爺山(まやさん)のだんまり≫、
『児雷也豪傑譚話(じらいやごうけつものがたり)』の
≪藤橋のだんまり≫、
『けいせい浜真砂(はまのまさご)』の
≪舟だんまり≫、
『盲長屋梅加賀鳶(めくらながやうめがかがとび)』の
≪御茶ノ水のだんまり≫や
『神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)』の
≪八ツ山下のだんまり≫...
などのように劇の一場面として演じられることがおおいのですが、
『宮島のだんまり』や
『市原野のだんまり』
のように独立した演目として上演されることもあります。
昔は顔見世や地方公演のおりに、ご挨拶の意味をこめ"お目見得だんまり"として演じられる場合もありました。このときは座頭(ざがしら)以下、主要俳優や売り出し中の若手が舞台に並び、芝居の筋にはあまり関係なく、それぞれの俳優が、座頭なら盗賊の親分格、二枚目なら若い武将や前髪の若衆、立女形なら花魁...と言うようにその俳優の柄に合わせた扮装で演じました。(み)
※ "挑"も"戦をしかける"という意味がある。
歌舞伎 今日のことば
バックナンバー
-
「蘭奢待」
-
「実盛の白髪染め」
-
「鎧櫃の”前”」
-
「大口」
-
「かんかんのう」
-
「酒呑童子」
-
「江戸のリサイクル」
-
「首実検の扇」
-
「伽羅」
-
「高野聖」
-
「小幡小平次」
-
「六代被斬」
-
「国崩し」
-
「勘亭流」
-
「公平」
-
「東海道四谷怪談」
-
「魚づくし」
-
「善玉悪玉」
-
「旗本奴」
-
「丁半ばくち」
-
「十種香」
-
「伊勢物語」
-
「草薙剣」
-
「紙衣(紙子)」
-
「平敦盛」
-
「三輪山伝説」
-
「道成寺」
-
「青海苔と太神楽」
-
「見立」
-
「三筆・三蹟」
-
「獅子と牡丹」
-
「寺子屋」
-
「水天宮」
-
「お数寄屋坊主」
-
「赤姫」
-
「虚無僧 その2」
-
「虚無僧 その1」
-
「絵看板」
-
「すし屋」
-
「だんまり」
-
「太郎冠者」
-
「屋体」
-
「鬘と床山」
-
「三遊亭円朝」
-
「道成寺もの」
-
「羽衣伝説」
-
「下座音楽」
-
「消え物」
-
「表方と裏方」
-
「在原行平」
-
「秀山十種」
-
「熊谷直実」
-
「夏芝居」
-
「定式幕」
-
「伊達騒動」
-
「朝倉義景」
-
「大薩摩節 その5」
-
「大薩摩節 その4」
-
「大薩摩節 その3」
-
「大薩摩節 その2」
-
「大薩摩節 その1」
-
「時代物と世話物」
-
「シェイクスピア」
-
「松羽目物」
-
「少年俳優」
-
「板付」
-
「ツケ」
-
「大道具と小道具」
-
「俠客」
-
「大名火消」
-
「閻魔と政頼」
-
「浅葱幕」
-
「玄冶店」
-
「江戸の火消」
-
「苧環」
-
「天覧歌舞伎」
-
「揚幕」
-
「拍子舞」
-
「香盤」
-
「仙人の堕落」
-
「ヒーローからヒロインに」
-
「かけすじ」
-
「一幕見」
-
「曾我物の舞踊」
-
「大前髪」
-
「虎の巻」
-
「名題と外題」
-
「土佐派&狩野派」
-
「襲名」
-
「この世のなごり 夜もなごり」
-
「知盛」
-
「幕間」
-
「佐藤継信・忠信兄弟」
-
「権太」
-
「柝」
-
「黒衣」
-
「並木正三 その4」
-
「並木正三 その3」
-
「並木正三 その2」
-
「並木正三 その1」
-
「独参湯」
-
「天狗」
-
「花道」
-
「落窪物語」
-
「屋号」
-
「千穐楽」
-
「見得」
-
「顔世御前」
-
「義経の家来」
-
「山科閑居」
-
「切口上」
-
「岡村柿紅」
-
「鹿ケ谷」
-
「差金」
-
「曾我物」
-
「しゃべり」
-
「川連法眼」
-
「猿若」
-
「戸隠伝説」
-
「玉本小新」
-
「招き看板」