拍子舞

ひょうしまい

 拍子舞とは、俳優が自ら台詞を言いながら、舞を舞うのを見せるもので、明和から寛政(1700年代後半)にかけて、数々の拍子舞が作られました。

 拍子舞の代表的な作品としては、天明元年(1781年)に初演された『蜘蛛の拍子舞(本名題・我背子恋の合槌(わがせここいのあいづち))』があります。この『蜘蛛の拍子舞』では、「花の姿を垣間見に」からが、眼目の拍子舞となります。江戸時代に出版された『蜘蛛の拍子舞』の長唄の稽古本にも、この詞章の前に「拍子舞」と注記され、唄ではないことが明示されています。

 『蜘蛛の拍子舞』以外にも、初演した俳優の名を冠した『高麗蔵拍子舞』、『鬼次拍子舞』などがあります。現在でもしばしば上演される『鬼次拍子舞』は、三世大谷鬼次(おおたにおにじ)(後の二世中村仲蔵)の初演した作品で、本名題を『月顔最中名取種(つきのかおもなかのなとりぐさ)』と言います。

 また『教草吉原雀(おしえぐさよしわらすずめ)』も初演当時は、拍子舞として上演されましたが、現在ではこうした演出は絶えてしまいました。(M)



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