すし屋
すしや
『義経千本桜』三段目の「すし屋」は、憎めない小悪党・いがみの権太と登場する人物の温かさでひときわ人気の場。最後は悲しい結末を迎えますが、さてこの「すし屋」とはどんなお店でしょう。店先にはストーリーに重要な役割を果たす「すし桶」がたくさん並んでいます。
こちらのすしは塩漬けした魚とご飯を交互に重ね桶の中で醗酵させたもので、すし桶はそのための必需品、ここで扱っていたのは吉野川で捕れた鮎を使った熟れ寿司(なれずし)でしょう。
手間隙をかけて醗酵させる代りに酢を用いて酸味を出し、魚を乗せて握った「握り寿司」が登場するのは江戸も後期、文化文政の頃といわれています。
今でも実在する「つるべすし 弥助」は創業800年といいますから、このお芝居が書かれた頃にはすでに人気店だったのでしょう、代々「弥助」を名乗るご主人も当代が49代目といいます。(K)
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