襲名
しゅうめい
先祖や師匠、先人の名を継ぐことで、歌舞伎に限ったものではなく歴史のある商家や、落語・相撲など様々な世界で行なわれていますが、やはり歌舞伎俳優の襲名が話題としても華やかでひときわ注目を集めます。
襲名するということは、単に名前が変るだけでなく、その名前にふさわしい芸風や芸格を身に付けるべく精進・努力を要しますが、そこに自然と備わってくる大きさというものもあり、そのあたりも観客にとっての楽しみでしょう。
近年の襲名披露では「口上」に一座の俳優が並んでお祝いの言葉を述べるのが恒例となっており、襲名にのぞむ俳優の緊張感と、列座する俳優たちのなごやかで祝祭的な雰囲気が舞台全体に漂います。
2007年4月の歌舞伎座では、「中村信二郎改め二代目中村錦之助襲名披露」が行われますが、「中村錦之助」は萬屋錦之介の前名です。
初代錦之助は歌舞伎の花形俳優として活躍後、昭和29年(1954年)に映画に転じ、映画の国民的スターとして人気を博しました。1972年に名前を萬屋錦之介に改めましたが、その後も、恒例となった特別公演をはじめ、歌舞伎座の舞台でも活躍しました。
今回その名を襲名する中村信二郎は初代錦之助の甥に当たり、歌舞伎界では久々の「中村錦之助」復活となります。(K)
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