かけすじ
かけすじ
『義経千本桜』の「四の切」などでお馴染みの宙乗りは、江戸時代から行われていたものです。しかし当時の劇場で、どのような機構を用いて宙乗りを行っていたかは、未だ不明の点が数多くあります。
現在のところ、かつての宙乗りの機構として、唯一、判明しているのは、〝かけすじ〟と呼ばれる機構です。絶えてしまった〝かけすじ〟の具体的な仕組みは、上方歌舞伎の故実や仕掛けに通じていた狂言方・松井正三氏(1890~1984年)によって伝承されていました。
現存最古の芝居小屋である旧金毘羅大芝居金丸座では、平成14年から16年まで、「平成の大改修」を行いましたが、その折の調査で、かつて〝かけすじ〟が設けられていた痕跡が発見されました。この発見を受けて、金丸座では〝かけすじ〟の機構を復元し、古風な宙乗りを見ることができるようになりました。
「第二十三回四国こんぴら歌舞伎大芝居」(2007年4月)で上演された『芦屋道満大内鑑―葛の葉』では、葛の葉狐の引っ込みを、〝かけすじ〟を用いての宙乗りでご覧頂きました。(M)
▲季刊「歌舞伎」第11号所収「歌舞伎のアングル・9 ケレン」より転載
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