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コクーン歌舞伎 記者会見

二〇〇七 渋谷・コクーン歌舞伎『三人吉三』記者会見

 今年の渋谷・コクーン歌舞伎(6月7日(木)~28日(木)、Bunkamuraシアターコクーン)は河竹黙阿弥作『三人吉三』の上演です。この作品は2001年6月にコクーン歌舞伎第四弾として登場し、好評を博しました。

 3月28日、昨年のコクーン歌舞伎「東海道四谷怪談 北番」の演出で、第14回読売演劇大賞・最優秀演出家賞を受賞した串田和美、そして、勘三郎・福助・橋之助、さらに淡路屋の屋号を持つ(?)笹野高史が出席して製作発表記者会見が行われました。

串田和美―――

串田和美

 門外漢の僕が手探りで歌舞伎を一生懸命作ってましたが、『三人吉三』は特に、「こういう歌舞伎があっていいんじゃないか、自分にもこういう役割があるんじゃないか」と思えるようになったきっかけの作品で、ぜひもう一度やってみたいと思っていました。
 今回それがかなって、あの時の“何か変わるぞ”という予感が何だったのかを確かめながら、きちんと作り直していきたいと思っています。

 黙阿弥のとても有名なお芝居で、大川端の名セリフ(月も朧に白魚の・・・)は知っていても、何が原因でこういう物語になったのかを案外知らない人が多いんだ、とその時思ったんです。
 我々に近い感じの、若くて世の中から置いてきぼりになっているような、今で言えば、事件を起して新聞やテレビで騒がれたり嫌われたり、そんな人たちの切ない社会の話なんだ、ということに気がついたんです。そして、さすが黙阿弥、ずっと皆に語り継がれるだけのことはあるな、その魅力の秘密はこういう所にあったのかということを発見し、もっと作品の奥に探る要素がたくさんあると思ったんです。

 今回もまた、きっと新しい発見をしていくと思います。この一座…カンパニーはみんなで、ワイワイ言いながら作ってきて、稽古場でも新しい発見をします。この一年の間にみんな何があったのかが、またそれにプラスされた稽古になると思います。僕自身とても楽しみです。

中村勘三郎―――

中村勘三郎

 (串田)監督の作品は、完成っていうのが無いんじゃないかな。完成っていうものはどこかにあるんだろうけど、それにいつも向っていくという姿勢が監督の演出ですので、今度もまた、この前と同じ事は絶対にありえません。それは私も楽しみにしています。

 いつも変わり続けるという、この、ある意味いい加減な…いい加減と言っても、ちゃんとしながら“余裕のあるいい加減”というか、そこが大好きで、監督の演出を信頼しております。また、面白い『三人吉三』になると思っています。

中村福助―――

中村福助

 すごく嬉しいです。串田監督、勘三郎兄さん、橋之助、そしてこの頃外部の仕事がちょっと多くなっちゃった歌舞伎俳優の淡路屋さん(笑)が戻ってきてくださって、またご一緒できるという、本当に嬉しくて楽しみにしています。

 前回のお嬢吉三では、監督に「今までの概念をぶち壊してやってほしい」と言われ、本当に悩んで…自分の中でも一つの財産のお芝居です。今度もまたいろんな意味で、ぶち壊して、新しいものを作って、みんなでいろんな事を話し合って、お客様と一緒に共感するようなお芝居をしていきたいと思っております。

中村橋之助―――

中村橋之助

 僕もこの作品から得たものはすごく多いんです。本質のドラマというのを、もう一回見直したり、本を読み直したり、黙阿弥の素晴らしさを感じたり。
 最初、この『三人吉三』の稽古はとても苦しくて、自分はどうしたらいいんだろうって随分眠れない日が続きました。でも今考えると、できなくて悔しかった苦しみが、ある種、役者の快感に変わっていく瞬間があって、それがすごく楽しくって。コクーンはいつもそうなんです

 この三人の吉三、かれら少年たちの心がドキドキ・ドキドキと動いて、その持って行き場のない人間性・・・実は、楽屋内もまさにそうでして、この作品で初めて三人(勘三郎・福助)で大喧嘩しまして(笑)。次の日ぐらいまで目もあわせなくて。串田監督がお父さんのように、真ん中に入って、「みんな仲良くするんだと!」手をつないで握手をして、ポロポロポロポロ泣いたのが、まさに、三人吉三そのものなんだなって感じました。

 以前の再現という事じゃなくて、何か新しいものを取り入れたいし、そういう芝居にしたいと思っています。

笹野高史―――

笹野高史

 淡路屋でございます(笑)。
 やっと歌舞伎の玄関の戸を少し明けて、中を覗かせていただいたようなところでございます。今回、この機会に。私ももう一回心を入れ直して、初心に戻ってやらせていただきたいと思います。

 串田監督とは、もう長いんでございますが、一緒に小さい劇団(自由劇場)をやっていたときには、監督はそんなにたびたび再演ということを口にしませんでした。「上海バンスキング」は儲かるからやりましたが(笑)。
 再演にあんまり魅力を感じない方だと思っていたんですが、歌舞伎に関しては“再演したい”“もう一回やりたい”と。そのもう一回やりたいと思わせる物っていったい何だろう…それが歌舞伎の奥深さ、魅力なんだな、俳優さんたちもみんな魅力的でそう思わせるのか…そう思わせなかった俺がいけなかったんだ!と劇団時代を後悔いたしました。

 この一座でやってみますと、私すごく感激して泣いてしまうんです。ちょっとした事でも。芝居を一生懸命作って、この快感を見ていただく皆様にも、少し垣間見ていただければ幸せです。


再演での演出、新たな展開について―――

串田和美―――
 歌舞伎の再演に何でそんなにこだわるのか、とありましたが、山の頂があの辺なのかなと思いながら、いつも途中にいるような気がして、もう少し上まで登らなきゃという気持ちが強いからなんです。
 ですから、再演だから前見た人のために、ちょっとどこを変えようとか、そういう気持ちでは無くて、あの事をもっと突き詰めたい、今の私たち・生きてる人のためのお芝居、歌舞伎はそういう要素をたくさん持ってるんだ、っていうことを、もっとクリアに伝えたいという気持ちです。だから結果的に変わったものができるとおもいます。

 時間が経つと時代も変わってきます。今は本当に早くて、『三人吉三』初演のころから色々なものが変わっちゃって、事件の種類も、心の持ち方も、追いつかないような変わり方をしている。そんな中で、芝居だけが、のん気にしていられないような、生きてる人たちと向かい合うように、今生きてる我々が考えるような芝居、そうしたいと思っているんです。

 


二〇〇七 渋谷・コクーン歌舞伎『三人吉三』記者会見
勘三郎―――
 役者と演出家が、いつも同じ方向をむいて、それに向かって我々が芝居をやる、つくづく「コクーン歌舞伎は生だなあ」って。とどまっていない、液体というか、アメーバーというか、なにか形がどんどん変わって・・・、その形を変えることが使命じゃなくて、やってる気持ちが変わってくれば必然と演技方法も変わってくるし。
 一番何が大切かっていうと、脚本をどう読み込むか。僕らの場合、どんどん違う読み方ができるようになってくるんです。
 それが、もしかしたら間違えてる方向に行くかもしれない、けれど、なんでもやらないよりやったほうがいい、という集団だと思っています。

 音楽に新しい工夫を入れる計画もあって、こちらもお楽しみ。
 6年の年月を経て帰ってくる渋谷コクーン歌舞伎『三人吉三』。是非ご期待ください。

コクーン会見

2007年04月03日

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