『一本刀土俵入』茂兵衛とお蔦
新橋演舞場 五月大歌舞伎、昼の部で上演される『一本刀土俵入』。主人公の駒形茂兵衛とお蔦にまつわる話をご紹介しましょう。
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吉右衛門演じる茂兵衛は、上州(群馬県)勢多群(せたごおり)駒形を故郷とする侠客がモデルといわれています。土地の言い伝えでは、茂兵衛は博奕打の足を洗ってから故郷へ帰り、鋤鍬を握ったが、百姓一揆の首謀者となって刑死したと伝えられています。
その茂兵衛が幕切れでいうセリフは、観客の涙を誘います。
「お行きなさんせ、早いところで、・・・仲よく丈夫でおくらしなさんせ。・・・お蔦さん、棒切れを振り廻してする茂兵衛のこれが、十年前に、櫛かんざし、巾着(きんちゃく)ぐるみ、意見をもらった姐さんに、せめて見て貰う駒形の、しがねえ姿の、土俵入りでござんす。」
まさに聞きどころです。
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お蔦を演じるのは芝雀。今回初役で勤める事が話題ですが、芝雀の父・中村雀右衛門がお蔦を初演した際の茂兵衛も当代吉右衛門。平成9年4月の歌舞伎座でした。
お蔦の出身は越中八尾(やつお)(富山県)。劇中でお蔦が歌う故郷の唄「おわら節」が茂兵衛との再会のきっかけとなります。
このお蔦にもモデルがいて、原作の長谷川伸が4歳で母親と生別し、その後の少年時代に品川で仕出屋の出前持をしていたころに出入りしていた遊女屋の女性だといいます。心細い奉公生活の中で感じたその女性の親切な心が、お蔦にも重なって見てくるようです。
少し話はそれますが、お蔦というと『一本刀土俵入』とともに、
翌6月新橋演舞場・新派公演で上演される『婦系図』に登場するお蔦も有名です。こちらのお蔦は波乃久里子、相手役の早瀬主税を片岡仁左衛門が演じます。2ヶ月続けて新橋演舞場に登場する二人のお蔦、どちらも情に厚く魅力的な女性です。
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公演情報はこちらをご覧下さい。
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