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海老蔵が語る『伊達の十役』

海老蔵『伊達の十役』
 8月4日(土)~23日(木)、新橋演舞場「八月花形歌舞伎」夜の部の三代猿之助四十八撰の内『伊達の十役』に出演する市川海老蔵が、公演を前に意気込みを語りました。

七代目ゆかりの演目――
 2年7か月ぶり、2回目の挑戦となる『伊達の十役』。「300以上もあるセリフを一からやり直すのはなかなか大変。次は早く再演して身につけておきたい」と語るほど、海老蔵が大切にしている演目です。というのも、これは祖先にあたる七代目團十郎が初演。「ゆかりのある狂言。強い意志でやっていきたい」と意欲を見せました。

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▲ 仁木弾正(撮影:篠山紀信)

全部が大変!――
 海老蔵が演じるのは、芝居の登場人物の関係を説明する「口上」の本人を加えると11役。前半はめまぐるしい早替りを見せ、仁木弾正役では宙乗りで花道を引っ込みます。心躍る見た目の面白さで観客を引き込み、『伽羅先代萩』でもお馴染みの仁木、政岡、細川勝元といった太く描かれている人物では、古典らしくじっくりと芝居を見せる――。お客様を喜ばせる手法と古典がうまく結びついた作品というところに「とても大きな価値がある」と言います。

 日々、新しいことが生まれ消えていくなか、「一番新しいことは(すたれることのない)古典」と言い切る海老蔵。その古典の魅力に気づくことが新しいこと、「それをわかっていただくために」、早替りや宙乗りといった手法を使って見せるというのが、海老蔵の考えです。体力的にもきつく、「とにかく全部が忙しい。楽しいという感覚もない」。けれど、「お客様が喜んでくださるのなら、そこに意識をもっていって勤めるのが役者としての唯一の喜び」と語ります。

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▲ 乳人政岡(撮影:篠山紀信)

まさかの共演、猿翁という存在――
 この演目を昭和54年4月、164年ぶりに復活させたのが、今月、『楼門五三桐』で共演している猿翁です。海老蔵にとって猿翁は、九代目團十郎や五代目菊五郎のような「共演できない憧れの一人」だったのが、願っていた復帰がかない、まさかの共演。毎日、「様々なものをつくってきた男、様々な夢を追いかけてきた男」、猿翁という大きな存在を目の当たりにして、得るものは計り知れないと言います。

 さらに、共演を重ねるなかで猿翁に言われた「伊達の十役、きみ!」のひと言。「感慨深い瞬間でした。それが"楽しみ"なのか"期待"なのか、意味はどうあれ、おっしゃってくださったことが僕にとって大きい」。この喜びを海老蔵は「死ぬ気でかかれるものが一つ増えた」と表現しました。

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▲ 細川勝元(撮影:篠山紀信)

市川家がつくり上げた演目――
 今回の上演は猿翁の強い要望で、三代目猿之助最後の上演(平成11年7月歌舞伎座)と基本的に同じになります。口上も猿翁たっての希望で、浅葱の裃(かみしも)に鬘は髱(たぼ)を袋付き(世話物で使われる後ろに膨らみのある形)にするとのことで、「(團十郎家の)柿色の裃以外を着ることはないので、面白い試み」と、海老蔵自身もわくわくしている様子でした。

 七代目團十郎がつくったものを同じ市川家の猿翁が復活させ、再び團十郎家の海老蔵が演じる――。先祖返りした作品に新たな魅力を見つける楽しみを、ぜひ劇場で味わってください。

2012年07月13日

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