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仁左衛門が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

仁左衛門が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

▲ 撮影:岡本隆史(2点とも)

 7月3日(金)に初日を迎える、大阪松竹座の「関西・歌舞伎を愛する会 第二十四回 七月大歌舞伎」に出演する片岡仁左衛門が、公演についての思いを語りました。

 短い一幕ながら、歌舞伎らしさが詰まった『鈴ヶ森』から始まり、夏らしい歌舞伎舞踊『雷船頭』、夏の情緒を折り込んだ『ぢいさんばあさん』、夜の部は“悪の華”を堪能できる『絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)』。「夏の芝居として、楽しくご覧いただけると自負しております」と、仁左衛門は今年の大阪松竹座恒例の 「七月大歌舞伎」をアピールしました。

かっとしやすい伊織
    ――『ぢいさんばあさん』

 「大好きな狂言です。ほのぼのと温かみがあり、涙あり、笑いもあり」と、仁左衛門は『ぢいさんばあさん』の伊織のような笑顔を見せます。「私はのんびりしているようで、かっとしやすいほうで…」と明かし、眼目の一つである下嶋殺しの場は、下嶋とやりあう中で武士として恥辱的な言葉を吐かれ、「ついかっとなって反射的に、自分の意志で斬ってしまい、後悔する」という気持ちで伊織を演じます。

 原作ではこの場は2階座敷となっていますが、「父(十三世仁左衛門)が京都で演じたときに夏だったので、“床”に変えました。私も夏の雰囲気が出るのでそうしています」。一方、再会の場では、「父の伊織は、隠居している身として裃(かみしも)を着けなかったのですが、私は、殿に拝謁してきたのだから裃を着けているだろうと、十七世勘三郎のおじさんのほうの衣裳にしています」。

仁左衛門が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

 「うまくまとまっている短編」に、父からの教えだけでなく、さまざまな工夫を加えて再演を重ねてきました。るんとの会話でも、初演した折に(平成6年3月歌舞伎座)玉三郎とのやりとりで、新たにせりふを入れたりしています。「伊織の気持ちは変わりませんが、るんのタイプで夫婦の雰囲気は変わってきます」と、今回の時蔵との初コンビにも期待を寄せました。

芝居だからこそ楽しめる“悪の華”
           ――『絵本合法衢』

 通し狂言『絵本合法衢』では、仁左衛門は大学之助と太平次の2役を勤めます。テクニックで演じ分けるのではなく、「大学之助は大敵(おおがたき)といわれるほどの人物ではないけれど、国を乗っ取ろうとする武士の極悪人。太平次は市井の小悪党。計算して変えるのではなく、大学之助、太平次という人間としてやれば、自然と2役は変わってきます」と、語りました。

 「役者はどうしても“本人”が出てきてしまうもので、潜在意識にないことをしようとすると、ぎこちなくなります。私は技術よりもそのものにぶつかっていくタイプ。非常に複雑な人間で、昼の部の伊織も本当の私なら、夜の部の極悪人も本当の私です。劇場空間ではそんな悪も楽しんでもらえる。不思議な世界です」と続けました。

 この公演では『鈴ヶ森』と『絵本合法衢』、二つの南北作品が並びました。南北の描く人物は、仁左衛門いわく、「人間が“なま”なんです」。太いタッチでいきいきと書かれているので、黙阿弥のようにきっちりしたせりふと違って「字余りのせりふも結構あるのですが、演者としてはすんなり役に入っていけます」と、今回の上演に当たっても意欲を見せました。

 「歌舞伎をご覧になったことのないお客様に面白い、また来ようと思ってくださる芝居ができれば。いつもそう思っていますが、この関西・歌舞伎を愛する会の公演は、特にそこを意識します」と、特別な思いを語った仁左衛門。さらに今回は、「若いときからともに苦労を重ねてきた、(演出・補綴の)奈河彰輔さんが昨秋亡くなられました。『絵本合法衢』は奈河さんへの追悼の意を込めて上演します」と、関西の歌舞伎への情熱を持ち続ける仁左衛門ならではの言葉も並びました。

 大阪松竹座「関西・歌舞伎を愛する会 第二十四回 七月大歌舞伎」は、7月3日(金)~27日(月)の公演。チケットは6月5日(金)、チケットWeb松竹チケットホン松竹にて発売予定です。

2015年05月28日

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